2008年04月22日

浅田真央・世界女王記念SP 四姉妹探偵団! 〜消えたスケート靴編〜3

友加里:もしもし? 荒川さん?

荒川:友加里ちゃん! どうしたの?

友加里:あの、実は浅田舞ちゃんの靴が盗まれたんだけど、中京大学のリンクのロッカーに置いておいて、それでさっきみたら無くなってたの。

荒川:家に忘れたとか?

友加里:ううん。家にはなかったみたい。それでね、防犯カメラを見てみたら昨日の夜、小林麻央さんが見学に来てて、それで、真央ちゃんのロッカーを見るはずだったのが、係りの人が間違えて舞ちゃんのロッカーを開けてたのよ。

荒川:麻央さんは気付かなかったわけね?

友加里:そうみたい。で、係りの人がロッカーの鍵を閉め忘れてて、次の日に曽根美樹ちゃんが気付いて閉めさせたの。

荒川:それで、麻央さんに聞いてもらいたいってわけね。

友加里:そう。そうなの。お願いできるかしら?

荒川:わかったわ。今すぐってわけにはいかないけど、聞いてみるわ。防犯カメラの映像だけど、パソコンでこっちに送れないかしら? どういう状況かしっかり見ておきたいの。

友加里:わかった。なんとかやってみるわ。

友加里、電話を切る。
一方

係員:舞ちゃんのロッカー? ああ、確かに閉め忘れていましたね。美樹さんが気付いて言いにきましたよ。

真央:それで、閉めたときに舞の靴はありました?

係員:わざわざ開けて確認してないのでそれはわかりません。ただ、麻央さんに見せたときは確かにまだありました。

明子:もともと真央ちゃんのロッカーを見せるはずが、舞ちゃんのロッカーを見せたのはなぜですか?

係員:ただ間違えただけですよ。

崇彦:お〜い、美樹さん連れてきたよ!

美樹:どうかしたの?
真央:実は舞のスケート靴のことなんですけど・・・。

美樹:舞ちゃんの・・・知らないわ。

ミヤケン:美樹さんはあのロッカーに入ったのは昨日の舞ちゃんとの練習の後は今日の朝やな?

美樹:そうよ。

崇彦:昨日は舞さんはしっかり靴をしまってました?

美樹:ええ。

健介:朝来たとき、どうして鍵が空いてるって気付いたのかい?

美樹:それは・・・鍵がつけっぱなしになってたからです。だからすぐに係りの人に言ってしっかり閉めさせました。

ミヤケン:鍵がつけっぱなしになってた?

美樹:私、てっきり舞ちゃんが閉め忘れたんじゃないかって思ったんです。

崇人:(係員のほうを向いて)それであんたは美樹さんになんて言ったんだ? 昨日の麻央さんのことは言ったのか?

係員:いいえ。あれは極秘事項でしたから言えませんでした。

明子:ではなんて言ったの?

美樹:多分舞さんが閉め忘れたんだろうって、そう言ってました。
崇彦:(係員に)それで合ってますか?

係員:はい。

ミヤケン:なるほどな。極秘事項やったら言えへんわな。

舞:でも、真央はなんで麻央さんにロッカーを見せようとしたの?

真央:だって、見たいって言ったから。

崇人:そのときに君もいるべきじゃないのか?

真央:だって真央、フジテレビの三宅さんのインタビュー受けてたからそばにいれなかったの。

舞:忙しかったのよ昨日は。家に帰ってきたとき、すごく疲れた顔してたもの。

崇彦:仕方ないな。でも今度からはこういうことはしないほうがいいかもしれない。ロッカーを見せるんだったら側にいた方がいいと思うよ。

明子:そうね。そうすればロッカーを間違えるなんてなかったかもしれないわね。

健介:いや、なかったな。まさか本人が間違えることはないだろう?

ミヤケン:そらそうや。ボケてへんかぎりわな。

友加里:みんな! しーちゃんOKだって。でも防犯カメラの映像を見たいって言ったからメールで送っておいたわ。ちゃんと許可も取ったし。

ミヤケン:よし、ほな会議室を借りてそこで話しあおか?

真央:賛成!

崇彦:賛成!

愛音:賛成!

ミヤケン:ほな、いくで!
posted by Yuki☆ at 06:59| Comment(1) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月06日

浅田真央・世界女王記念SP 四姉妹探偵団! 〜消えたスケート靴編〜2

名古屋勢のうち、常に中京で練習している浅田姉妹は靴をロッカー室に取りにいった。

舞:あれっ?

真央:どうしたの?

舞:私の靴がないの。昨日ちゃんとここにおいておいたのに・・・。

真央:またぁ? この間もなくして迷惑かけたばっかじゃん!

舞:わかってるよ〜。でも確かにここに置いたの!

真央:本当? また家に忘れたとかじゃないの?

舞:そんなことないよ!だってずっと置きっぱだもん。

崇彦:お〜い。どうかしたか? みんな待ってるよ。

真央:舞がまたスケート靴なくしたんだって。

舞:ごめんなさい。

崇彦:謝る必要はないさ。それに昨日は一緒に練習してただろう?僕は女子更衣室には入れないけど、どっかにやるはずないもんな。

舞:うん。

真央:ね、昨日は誰と練習してたの?

崇彦:僕と、あと曽根美樹さん。昨日は平日だったから3人だけだったよ。

真央:じゃ、美樹さんに聞けば舞がちゃんとしまったかしまってないかわかるね。

崇彦:そうだな。でもそれより防犯カメラを見るほうが早い。とりあえず僕はみんなを呼んで来るから、舞は家に電話して念のために確認してみなよ。

舞:ありがとう。

―それから数分後

舞:家には無いって。ママはいなかったからパパに探してもらったんだけど・・・。

友加里:昨日は確かにここに置いて帰ったのね?

舞:うん。確か。

健介:鍵はちゃんとかけたの?

舞:かけたわ。

崇彦:お〜い。防犯カメラの映像を取り出してきたよ。

ミヤケン:よし。ほな見てみよか。

ビデオを再生する

崇彦:昨日僕達が練習を引き上げたときからだよ。

―舞:あ〜疲れた! そうだ! 今日は真央が帰って来るんだった。早く帰ろっと!

そう言ってロッカーに靴をしまい、着替え始める。

舞:やだっ! 見ないで!

ミヤケン:しゃーないやろ(笑)これが防犯カメラっちゅうもんや。

友加里:考えて見ると怖いわね防犯カメラって。

ミヤケン:そうや。そやから今の防犯カメラだらけの社会には賛否両論なんや。

真央:あっ!舞がロッカーに鍵をして帰っていくよ。ちゃんとしまったみたいだね。

崇彦:ということはこれから先誰かが盗みに入ると・・・。あれっ? まてよ・・・。

舞:どうしたの?

崇彦:いや、このロッカーって専用ロッカーじゃないよね? その、つまり、誰でも使っていいっていう。

舞:そうだけど、左端の2つだけは私と真央で専用で使わせてもらってるの。

崇彦:なんだ。そうか。それじゃ他の人に使われるおそれもないか。

舞:そうね。鍵もずっと私がもってるし。

崇人:おい、誰か入ってきたぞ!

友加里:あれっ? 小林麻央ちゃんだわ!

健介:えっ! どれどれどれ?

明子:もう!麻央ちゃんのことになると目がないんだから。

愛音:あれっ? 係りの人が舞ちゃんのロッカー開けてるよ!

舞:えっ!

健介:かわいい〜

明子:健介君!

ミヤケン:小林さんに見せとるようやな。見てもええ言うたんか?勝手に見とるんやないやろな。プライバシーの問題になってまうで。

舞:私、麻央さんに会ってもないんだけど・・・。

真央:あ、思い出した!昨日取材で来てたんだった。

ミヤケン:なんやて!それほんまか?

真央:うん。それで真央のロッカーなら何も入ってないから見ていいよって言ったんだけど。

舞:でもなんで私のロッカー開けてるのよ!
崇彦:係りの人が間違えたのかな?

ミヤケン:それしか考えられへんな。

崇人:結局見ただけで何も持っていかなかったぞ。

友加里:係りの人、鍵を閉め忘れてるわ。

舞:でもさっきはちゃんと閉まってたよ。

明子:それじゃあ、まだ誰かいるってことかしら。

健介:そうだなぁ。

ミヤケン:(画面右上の時計を確認して)朝やな。結局夜中は異常なしやな。

崇彦:今は10時だからあと5時間だね。今日は朝練は・・・

真央:あっ!美樹ちゃんだ。

健介:偉いよなあいつは。毎日毎日朝早くからさ。

明子:そうね。あらっ? 彼女、係りの人連れて来たわね。

友加里:舞ちゃんのロッカーを閉めさせてるわ。空いてるのに気付いたのね。

崇人:でもどうやってさ? そんないちいち鍵穴を見てるわけでもないし、触ってもいないのにどうしてわかるんだ?

真央:確かに変だね。少し隙間があったりしたら別だけど、ちゃんとぴっちり閉まってたもんね。

ミヤケン:そんなもん感覚的にわかったんと違う? あまり気にすることやないと思うけんど。

崇彦:いや、変だな。もうこの後は出入りはないから美樹さんと係りの人と、できれば麻央さんにお話を聞いてみないと。

真央:麻央さん、ニュースがあるからもう東京に戻られたよ。

ミヤケン:ほな、しーちゃんに頼もか。

友加里:それが一番早いわね。私が電話するわ。

崇彦:じゃ、美樹さんを探してくるよ。

健介:それじゃあ、残りの面々は係りの人だな。真央ちゃん、何て言う名前の人か分かるかい?

真央:えっと、確か、田島さんだったような・・・。守衛室にいるはずだからついて来て!
posted by Yuki☆ at 01:12| Comment(2) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月29日

浅田真央・世界女王記念SP 四姉妹探偵団! 〜消えたスケート靴編〜

―2008年・春、中京大学オーロラリンクにて
舞:落ち着いた?
真央:うん。やっとね。

舞:良かった。ほんとに忙しかったもんね。
真央:うん。でもまだ新しいプログラムとか作らないといけないし、テレビ出演も残ってるし、結構忙しいよ。
舞:そうだよね〜

真央:あ、やだなぁ。せっかく今日は2人で貸し切りだと思ったのに。

やってきたのはミヤケンこと宮本賢二と中庭健介、鈴木明子、中野友加里、無良崇人、小塚崇彦、中村愛音の名古屋で練習する面々である。

ミヤケン:やあやあ!
真央:なんなんですか? 今日は貸し切りなはずなんですけど。

ミヤケン:ちゃうねんちゃうねん。姫君様が貸し切りやなくて、僕たちみんなで貸し切りやねん。

真央:は? 聞いてないよ、そんなの。

ミヤケン:そらそうや。これから話すんや。姫君様の御付きの方には姫君様をリンクに行かせるようにとしか言ってへん。

舞:ね、なんなの姫君様って?

ミヤケン:なにゆうてるねん!世界選手権で女王になられた我が姫君やないか!

真央:我が姫君って・・・

友加里:だからそういうことやめてって言ってるでしょ! 真央ちゃん迷惑してるわ。

真央:べつに。気にしてないけど・・・。

舞:それより早く本題に入らないんですか殿?

ミヤケン:よく言うた! ってなんでわてが殿やねん! 殿は信成しかおらんやろが!

真央:そんな、信ちゃんの奥さんなんてやだ!

ミヤケン:あのな、信成は織田信長の末裔やからそう言うだけや。たんなるあだ名や。それはそうと、今日はな、姫君様の優勝を記念してある企画をやろう思ってみんなにあつまってもろたんや。

真央:企画?

ミヤケン:そうや。ええか、やるのは、4姉妹探偵団や!

真央:4姉妹? 真央たち4人も姉妹いないよ!

ミヤケン:そらそうや。そやからこう決めたんや。長女が伊藤みどりさん。今はおらんけどな。次女が友加里ちゃん。三女が舞ちゃんで四女が姫君や。

真央:グランプリ東海クラブでそろえたんだ!

ミヤケン:そうや。それから姫君様を守る人が必要やな。

真央:そんな、そこまでしなくても。

ミヤケン:いや、我が姫君様はしっかりと守らねばあかんのや。そやから信成に・・・

友加里:それはダメよ。信成君は頼りがいなしよ。せっかく健介君がいるんだから・・・
健介:ぼ、僕?

明子:いいんじゃない? 私も手伝えるし。
ミヤケン:いや、探偵団には秘書が必要やさかいにな。2人には恋人関係にある秘書の役をお願いしたいんや。そやから・・・

崇彦:じゃ、僕が真央を守るよ。

舞:キャー!崇彦ったらかっこいいこと言っちゃって!

ミヤケン:よし。ほなこうしよ。信成が友加里ちゃんの恋人役、崇彦が舞ちゃんの恋人役や。ほんで2人とも他の姉妹と仲がええちゅうことにする。とくに崇彦は姫君様の高校の憧れの先輩や。ええな。そやけどお姉ちゃんの恋人やからなかなか付き合えへんのや。そやから姫君様には一応の恋人を付けへんとあかん。

崇人:僕だ!

真央:えーっ! ぜーったいやだっ!

崇人:なんで僕じゃダメなんだよ!

真央:だってぇ、無良君のこと瑠美ちゃんからいろいろ聞いてるから・・・。

崇人:あいつ、また余計なこといったのか?

真央:うん。崇人君は女の子の扱いが下手だって。

崇人:なんだよ。下手じゃねぇよ!

ミヤケン:わかったわかった。そやけどとりあえずやってみん? 意外と合うたりするかもわからんで。もしあかんかったら新しい男を見つけたる。

真央:見つけなくていいよ。真央、自分で見つけるから。

ミヤケン:あ、うん。まぁ、そうやな。そんならはじめよか?

明子:愛音ちゃんはどうするの?

ミヤケン:あ、そやそや。忘れとったわ! 愛音ちゃんは伊藤みどりさんの弟子ちゅうことにしたわ。いろいろ教えてもらえるやろ?
愛音:うん! 愛音、頑張る!

ミヤケン:よしよし。そんならはじめよか。
舞:あの、美姫ちゃんは?

崇彦:僕も聞きたいな。

ミヤケン:怪我しとるやろが!怪我しとるやつに無理はさせられんわ。そやけど本人が出たい言うんやったら途中から出すつもりや。大輔は出る予定やしな。

真央:そっか。残念だね。

崇人:仕方ないな。(そう言って真央の肩をぽんぽんとたたく)

真央:やめてよたかやん!

崇人:なんだその`たかやん'っての?

真央:無良君のあだ名だよ。いや?

崇人:べ、べつに。いやじゃないけど。でもむらっちのほうがいい。瑠美ちゃんはそう呼ぶんだ。

真央:じゃ、むらっちでいいよ。むらっち、よろしくね!

崇人:あ、うん。

ミヤケン:ようし。今度こそはじめるで!みんな、スケート靴を履いてリンクの中央に集まるんや!信成とみどりさんももうすぐ来るさかいにな。

全員:は〜い!
posted by Yuki☆ at 08:44| Comment(1) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月22日

連載小説・Kiss&Cry!プロローグ3

それは、父親の病気だった。リサの父親の務は、1年前から肺がんを患って入退院をくりかえしていた。会社をやめ、やせ衰えた父親。これではお金も入ってこないし、スケートも続けられない。
そのことを聞いたとき、コーチの安斉良子はこう言った。
「彼女には才能があります。必ず有能なスケーターに育てますのでお金のことは気にせずに私に任せていただきたい」
そして父親に代わって市役所で働きだした母親がスケート費用の半分を負担し、リサが大きくなって自分でお金を稼げるようになったら残りのお金を払うという条件でスケートを続けられることになった。
しかし、病気の父親を1人放っておくわけにもいかなかった。単身赴任中のリサの父親はもちろん1人暮しをしていたが、病気では1人で生活することは困難だった。
最初リサの母親は、父親を家賃の安い名古屋に引き取ろうと考えた。そうすれば今父親が住んでる家を売り、大変な暮らしを少しでも楽にすることができる。
しかし、生まれた時からこの地に住んでいる父親は、この地を離れることをかたくなに拒んだ。この地で死にたいとせがんだ。
母親のリツ子は悩んだ。せっかくコーチの配慮でリサがスケートを続けられることになったのに、今辞めるわけにはいかない。それに、今父親が住んでいる家は大きすぎる。
そんなとき飛び込んできたのがこのリンクのオープンというニュースだった。
リツ子はますます苦悩していた。戻るべきか、とどまるべきか。
そんなときアドバイスをしたのは、真央のコーチだった山田満知子コーチだった。山田は次のように言った。
「この大須のリンクはリサには狭すぎます。彼女は可能性のある選手です。安斉コーチも乗り気なので、戻ったらいかがでしょうか。新しいリンクにはまだ選手育成コースはないので、リンクを貸し切って思う存分滑れます。」
それは、リサを思っての山田なりのアドバイスだった。山田はさらにこう言った。
「実は真央も舞も、この夏からこのリンクを離れてアメリカに行くの。それも将来を見据えてのこと。リサも千葉で練習して、そして、1人で生きて行けるようになれば、海外の先生に習ってもいいと思うわ。」

そしてリサはこの地に戻ってきたのである。

休憩時間に入り、リサはリンクサイドで見ていたカオルのところに近寄っていった。

「どう?滑りたくなった?」

カオルは戸惑った。なんでこんなやつと滑らなきゃいけないんだよ・・・。でも、滑ってみたいし・・・。

「いま直ぐじゃなくてもいいよ。でも今度の土曜日にリンクのオープニングセレモニーがあって、有名な選手がみんな来てくれるの。私も滑るんだけど、見に来てくれる?きっと滑りたくなるわ!」

そういうと、リサはちょっと待っててと言ってどこかに行ってしまった。

〜どうしよう。でもみんなって誰かしら?そんなに上手なのかなぁ。カオルはまだいまいちフィギュアスケートの良さが理解出来なかった。リサの言う「みんな」が誰なのかさえ分からなかった。

10分後、地上に上がったリサは、1枚のチラシを持ってカオルの所に戻ってきた。

「これなんだけど、水泳会員もスケート会員も、会員に入ってる人は無料で特別席なんですって! 親や友達と一緒でもOKよ!見にきてくれるわよね?」

カオルはちょっと躊躇してから言った。

「行ってもいいけど、私にスケート分かるかしら?」

それを聞いたリサはニコッと笑って言った。
「大丈夫よ! 技の名前はわからないかもしれないけど、すごいかすごくないかは素人でもわかるわ!」

〜そんなの当たり前のことじゃない。カオルは思った。でも、当たり前のことなのに気持ちがすっきりしていた。なぜたかわからないが、演技を見る気になった。カオルは思った。金子さんって結構いい人かも。

「わかった。いくわ!」
「良かった!楽しみにしててね!」
リサが嬉しそうに言った。

プロローグ 終わり


この物語はフィクションです。
posted by Yuki☆ at 17:44| Comment(3) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月14日

連載小説・Kiss&Cry!プロローグ2

水泳の練習が終わった後、カオルはリサのことが気になって今日からスケートリンクに変わったメインプールをのぞいてみた。プールのときはこんなにいないのに、リンクではすごく大勢の人が滑っていた。怖そうにリンクサイドで震えてる人、よろよろしながらも前後に滑っている人、恋人どうしのような2人組が仲良く滑っていたり、そうかと思うときれいに弧を描くようにシューっと滑っている女の子もいた。その女の子がリサであることに気付いたのは、リサがカオルのほうに近寄ってきてニコッと笑ったときだった。
―金子さんがあんなにきれいに滑ってるなんて・・・。
カオルは信じられなかった。いままで散々馬鹿にしてきたフィギュアスケート。しかし、リサが滑るのを見ていると不思議とフィギュアスケートが美しく、華麗な競技に思えてくるのだった。
リサはリンクサイドにいるコーチらしき女の人と何やら話をすると、今度は真ん中の空いてるスペースを利用してくるくると回り始めた。その美しいスピンは周りで練習している人をもひきつけた。どよめきが起こり、何人かの手が止まった。
「すごい!」
カオルは感激して思わず手を叩いた。
リサは周りの人の反応を気持ちよさそうに聞いていた。
5歳から始めたフィギュアスケート。リサはここに引っ越してくる前は名古屋で練習していた。もとはといえばこの地に住んでいたリサ。スケートを始めた頃はちょうど今リンクのあるこの場所に薄汚いリンクがあった。リサはそこで安斉コーチとともに練習をはじめた。しかし、8歳になった年の夏、リンクが突然閉鎖され、2人は追い出された。練習する場所がなくなった2人は、リサの母親と一緒に、単身赴任の父親を残して、練習する環境がととのっている名古屋に引っ越した。そこでリサは「すごい人」に出会った。浅田真央だった。大須のリンクで練習していた真央にリサが初めてあったのは名古屋に移ってからすぐのことだった。真央はいつもお姉ちゃんと一緒に練習に来ていた。山田満知子コーチに指導を受けながら真央はトリプルアクセルを降りた。まだリサがやったことのないスピンを回った。お姉ちゃんの舞とともに練習熱心で高度な技をいとも簡単に決めてしまう真央ちゃんにリサは惚れた。リサは真央と話してみた。
「どうやったらそんなに難しい技ができるようになるの?」
そんな質問にも真央は優しく答えた。
「コーチの言うことをよく聞いて一生懸命練習すれば、すぐにできるようになるよ」
そしてリサのスケートシューズにサインを書いて渡した。「頑張ってね!」そう言いながら。
スケートのことから生活面まですべてのリサ手本が真央ちゃんだった。
「真央ちゃんはいつも紙に目標を書いて天井にはってるんですって」
「一度決めた目標は必ずその年に達成するのよ」
「有言実行」
リサはなにもかも真央ちゃんの真似をした。髪形から食べる料理まですべて真央ちゃんの真似をした。真央ちゃんのように毎日練習日誌をつけたり、スケートシューズを丁寧に手入れしたり。それくらい真央ちゃんのことが好きだった。憧れの存在だった。
もちろん名古屋にはたくさんのスケーターがいた。真央ちゃんのお姉ちゃんの舞ちゃんだってそうだし、中野さんだって安藤さんだって恩田さんだっていた。でも、真央ちゃんほど優しくて、スタイルもよくて、スケートが綺麗な人はいない気がした。
12歳の春、リサははじめて真央ちゃんや他のスケーターと一緒に名古屋で行われたショーに出た。真央ちゃんと一緒にショーに出れる・・・。リサの喜びは半端ではなかった。喜びすぎて練習中にすっころんで手を痛めてしまった。それでもリサはショーに出た。手は痛かったが真央ちゃんがそばにいてくれるだけでその痛みは消えていくような気がした。リサは真央ちゃんの目の前で「ソーラン節」を踊った。頭に鉢巻きをして、ハッピを着て、一生懸命踊った。
「すごく良かったよ」真央は自分からリサに声をかけた。そしてフィナーレでは隣りどうしに場所をとって滑った。最後には手をつなぎ、お客さんに挨拶した。
―夢みたい・・・。
リサは天国にいるような気分だった。憧れの真央ちゃんと一緒に滑れただけじゃなく、自分の演技を褒めてもらえた。本当にうれしかった。スケートをやってきて本当に良かったと思った。

そんなリサがまたこの地に戻ってきたのにはある理由があった。
posted by Yuki☆ at 16:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月11日

連載小説・Kiss and Cry! プロローグ1

皆様のご要望にお答えして、学生生活をテーマにしたドラマをおおくり致します。尚、はじめに断っておきますが、このドラマはフィクションです。でもたくさんの実在のフィギュアスケーターが登場してきます。
さて、ドラマは中学2年生の長野カオルと金子リサの2人の女の子を中心に展開します。
カオルは公立中学に通う中学2年生。フィギュアスケートが大好きで、高橋大輔の大ファンだ。しかし、水泳部に入っている彼女は、もとからフィギュアスケートに興味があるわけではなかった。ましてや水泳でオリンピックを目指したいと思うくらいで、水泳の成績もよく、これまでにも様々な大会で優勝してきた。ただ、リサに出会うまでは・・・。
リサは中2の夏が終わったあとにこの学校に転校してきた。明るく、積極的な子で、すぐにクラスにとけこんだ。だが、同じように明るく、活発なカオルとはなかなか打ち解けにくかった。クラスの大将が2人いるような感じでいつもお互いがお互いに意見を言い争っていた。
「金子さんはセッターね。私はサイドから攻めるから」
バレーボールの授業のとき、カオルがそう指示を出すとリサは反発してこう言った。
「な、なに言ってるのよ!あなたがセッターしなさいよ。あなたのほうが背が高いんだから。私が攻めるわ」
そして2人がつかみかかったところ、体育の先生がすっ飛んできた。
「長野!金子!なにやってるんだ!馬鹿たれっ」
家庭科の授業のときも味噌の扱い方をめぐって喧嘩になった。家庭科の先生が家庭によって使い方は人それぞれだからって説明しても2人は一歩も譲らなかった。2人とも自分のほうが正しいと思っていた。

そんなことが続いたある10月の日曜日、カオルはいつものように近所に1年前オープンした温水プールに行った。カオルはこのプールができるまではバスで30分行ったところにある県営プールに通っていたが、選手養成コースがあり、5千人収容のスタンドがあるメインプールとサブプールからなる民間企業が営業するプールが家のすぐ近くにできたので今年の春からこちらに移っていた。
でも、今日はなんか雰囲気が違った。いつもはこんなにいないのに今日はたくさん人がいた。
―記録会でもあったかな?
でもそれにしてはいつも一緒に練習している子や、その親のような見覚えのある人は見当たらなかった。
―なんか変だな・・・。
カオルはそう思って受付の人に出席カードを渡しながら聞いた。
「今日はなにかあるんですか?」
受付のお姉さんは、なんだ、知らなかったの?とでも言うかのような表情で答えた。
「ええ。今日からメインプールがスケートリンクになりましたので」
スケートリンク?聞いてないよそんなのっ!カオルは戸惑った。そして、この大勢のお客さんの中にカオルはリサの姿を見つけた。なんであいつがここにいるのよっ!しかも運の悪いことにリサはカオルがいるのに気付いて近付いてきた。
「よっ!なにしてるの?こんなところで」
小麦色の肌をしたリサはいつも他の人と接するのと同じように明るく声をかけてきた。
「何って、見れば分かるでしょ。泳ぎにきたの」
うざいなぁ。別に話したくないのに・・・。
「へぇ〜。長野さんが水泳やってるなんて知らなかった。私はね、スケートしにきたの。」
スケート! 金子さんってスケートなんかやってるの?あんなの氷の上で、遊んでるだけじゃない。小さい頃父親に連れられて滑りにいったときも立ってるだけで壁から離れられず、なんでこんなのが面白いんだろうってずっと思っていた。そんなスケートをやってるの?カオルは思わず笑ってしまった。リサはちょっと顔をしかめたが、それでもなんとかカオルとも仲良くなりたいと思っていたリサはカオルに向かって言った。
「ね、スケートやってみない? きっと楽しいわよ。私が教えてあげるからさぁ」
はぁ〜!? 何言ってるのよ。私は泳ぎにきたのよ。滑ってる暇なんてないわ!
「何言ってるのあんた。私が素直にあなたに従うなんて思ってないでしょうね。」
カオルはリサをにらみ付け、ロッカーへ向かった。
しかし、そうは言ったものの、なにかおおきなシコリのようなものがカオルの中に残っていた。いつも喧嘩ばかりしていた金子さんが私をさそってくれた。私を嫌っているはずなのに自分から声をかけてきて、スケートにさそって・・・。カオルは自分の水着に着替えながら自分の気持ちが少なからずも動いているのを感じていた・・・。
posted by Yuki☆ at 21:17| Comment(6) | TrackBack(0) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。